韓国の食堂の使い方 — 呼び出しボタン、無料のおかず、そしてチップがない理由
訪問のヒント · Sokcho Hangari Mulhoe

束草(ソクチョ)の海水浴場の前で물회(ムルフェ)の店をやっておりますが、毎日、同じ小さなためらいを目にします。
お客様が席に着いて、そのまま待っておられる。こちらと目が合って、そらして、また待つ。あるいは小皿に手を伸ばしかけて、これも会計に入るのだろうかと止まる。食べ終わって、お金を手にしたまま、誰に渡せばいいのか分からずに座っておられる。
食べ方をご存じないという話ではありません。韓国の食堂には、誰も書き残さないルールがあるのです。ここの人間は五歳で覚えてしまうので、わざわざ書く人がいない。ですからカウンターの内側から、書いておきます。
1. ボタンを押してください。無視されているのではありません
テーブルをご覧ください。小さなボタンがついているはずです。**呼び出しベル(호출벨/ホチュルベル)**です。
押してください。それだけです。すぐに参ります。
ベルがなければ、「저기요」(チョギヨ)——「すみません」——と、声に出しておっしゃってください。ささやき声でも、手を挙げて待つのでもなく、声に出して。「여기요」(ヨギヨ)でも通じます。
これがいちばんお伝えしたいことです。誤解が深いところなので。多くの国では店員のほうから「お料理はいかがですか」と様子を見に来ますし、放っておかれたら何か問題があるということでしょう。韓国は逆です。お邪魔しないことが礼儀なのです。ゆっくり召し上がりたいだろうと思って、こちらから近づかないだけです。
そうしてお客様は遠慮してこちらを待ち、こちらは遠慮してお客様を待ち、料理だけが冷めていきます。ボタンを押してください。失礼ではありません。ご用があると分かる方法が、それしかないのです。
2. 小皿は無料です。おかわりも無料です
注文していないのに出てきた小皿——あれが반찬(パンチャン)、おかずです。
お代はいただきません。伝票にも載りません。なくなったら、おかわりできます。これも無料です。空いたお皿を指さして**「더 주세요」**(ト チュセヨ)——「もっとください」。壁際にセルフサービスの台がある店もあります。
その「無料のおかわり」を安心して頼める理由を申し上げます。ご存じない方がほとんどです。韓国では、一度お客様にお出しした料理を店が使い回すことを法律で禁じています。店の方針ではなく食品衛生法で、懲役刑と高額の罰金が定められています。お下げした皿は、この国のどの店でも捨てられます。
そこで厨房から一つだけお願いを。召し上がる分だけ取ってください。最初に山盛りにするより、おかわりのほうがずっといいのです。二度でも三度でも、まったく構いません。
3. お水は無料で、たいていご自分で注ぎます
ボトルかウォーターサーバーと、その横に重ねたコップを探してください。テーブルの上か、脇の台か、壁際にあります。ご自由にどうぞ。
韓国ではどこでも無料で、そして頼まない限り誰も持ってきません。見当たらなければ、そのための呼び出しベルです。「물 주세요」(ムル チュセヨ)——「お水ください」。
4. チップはありません。メニューの値段が、お支払いになる金額です
料理の横の数字に、すでに税が含まれています。最後に足されるものはありません。最後に期待されるものもありません。
テーブルにお金を置いていかれると、店員が「お忘れです」と思って通りまで追いかけてお返しします。冗談ではなく、それが普通の結末で、お互いに気まずい時間が生まれます。
ソウルのおしゃれなカフェで、まれにチップの瓶を見かけることはあります。あれは新しいもので、韓国の新聞でも賛否が分かれていて、お客様に期待されるものではありません。
代わりに、そして本当に嬉しいのは、お帰りに一言。「잘 먹었습니다」(チャル モゴッスムニダ)——「ごちそうさまでした」。この国の店主なら誰でも、お金より、そちらのほうが嬉しいはずです。
5. お会計は出口のレジで — あるいは注文時にタブレットで
昔からの、そして今も多い形。伝票は料理と一緒にテーブルに置かれます。誰かが取りに来るのを待たないでください。その伝票を持って、出入り口のレジへ行き、そこでお支払いください。
新しく、急速に広がっている形。テーブルの注文タブレットで、注文したその場でカード決済ができます。選んで、カードをかざして、それで終わり。最後は席を立って出るだけです。その方式のお店なら、タブレットの画面ですぐ分かります。
当店では、ご注文時にタブレットでお支払いいただくのが通常です。ただ、お帰りにレジで精算していただくこともできます。どちらでも構いませんので、やりやすいほうでどうぞ。
- カードはどこでも使えます。小さな店でも。現金はほとんど要りません。
- 一人がまとめて払うのが今も一般的ですが、割り勘も普通になりました。カードを二枚出して金額を言えば大丈夫です。
- 昔ながらのお店で席で払いたければ、ベルを押して**「계산할게요」**(ケサナルケヨ)——「お会計します」。
6. お一人なら、「2人前から」の決まりだけ確認を
焼肉、鍋物、大きな煮込みなど、**2人前以上(2인분 이상)**からという店があります。
これは正直に説明したほうがいいと思います。理由が分からないまま言われると、きついものですから。外国の方に向けた決まりではありません。一人でも二人でも、支度にかかる費用がほとんど変わらないのです。同じ炭、同じ網の後片付け、同じ一式のおかず。一人前のお代では、その費用をまかなえないのです。
そしてこの決まりは急速に消えつつあります。一人ごはん——혼밥(ホンバプ)——は今の韓国ではまったく当たり前で、やめる店が毎年増えています。
**当店では、この決まりはありません。**ムルフェは一人に一つの器でお出しするので、お一人はお一人です。朝9時から開けておりまして、一日じゅう、おひとりのお客様が召し上がっています。
7. 本当に大事な食卓の作法
短くまとめます。韓国人が「おや」と思うのはこのあたりです。
| こうしてください | 理由 |
|---|---|
| ご飯とスープの器はテーブルに置いたまま、スプーンですくって召し上がる | **日本とは正反対で、いちばん驚かれるところです。**器を持ち上げて口に運ぶ食べ方は、韓国ではかなり不自然に見えます。 |
| ご飯とスープはスプーン、それ以外は箸 | 片手で両方を持たないこと。使わないほうは置いてください。 |
| ご飯に箸を立てない | 法事でご先祖にお供えする形です。小さな失敗ではなく、縁起の悪いことと受け取られます。 |
| 韓国の方とご一緒なら、年長の方がスプーンを取ってから | 半秒待つだけです。気づかれますし、喜ばれます。 |
| お酒は自分ではなく相手に注ぐ — 目上の方には両手で | 誰かがあなたのグラスを満たします。今度はあなたが満たしてください。 |
真ん中の鍋については、みんなで直接つついて食べるのが韓国では普通です。気になるようでしたら**「앞접시」**(アプチョプシ)——取り皿——と頼んでください。誰も何とも思いません。
8. 靴を脱ぐ店も、あります
一段高い木の床と、その端に下駄箱があれば、座敷です。上がる前に靴を脱ぎます。入口に並んだ他の方の靴が目印になります。
これは何度も見てきたので実用的に申し上げます。見られても平気な靴下でお出かけください。
当店はテーブルと椅子の席なので、ここでは出てこない話ですが、韓国のどこかで必ず出会います。たいていは、わざわざ行く価値のある良い店で。
9. 韓国語が一言も分からないときの注文
これは本当に問題になりません。いちばん解いて差し上げたい心配です。
- **写真を指さしてください。**韓国のメニューに写真が多いのは、まさにこれが通じるからです。
- 「이거 주세요」(イゴ チュセヨ)——「これください」。この一言で、韓国のどの店でも何でも頼めます。
- 韓国語にはGoogle翻訳よりPapagoを。精度がはっきり違います。
- テーブルの注文タブレットには言語ボタンがあることが多いです。当店にもあり、料理の写真も出ます。日本語に切り替えて、写真をタップして、カードで支払う——最初から最後まで、一言も話さずに食事ができます。今日はそのほうが楽だという日なら、それで全く構いません。
当サイトのメニューは14言語でご覧いただけます。お越しになる前にスマホで開いておけば、それで終わりです。
一つだけ、どんな言語でも、どんな方法でもお伝えください。アレルギーは、ご注文の前に。当店の料理はほとんどが活きた魚介です。「アレルギー」という言葉でも、ご自身を指さすのでも、スマホの画面を見せていただくのでも構いません。安全なものをお探しします。
10. 心配しなくていいこと
- 麺をすする音 — 大丈夫です。誰も顔を上げません。
- 食べ残し — 大丈夫です。失礼にはなりません。
- 金属の箸が使いにくい — 滑ります。韓国人も落とします。採点している人はいません。
- 店内がうるさい — 韓国の食堂はにぎやかです。話していて失礼にはなりません。
- ありがとうと言いすぎる — どうぞ続けてください。迷惑だった例は一度もありません。
まとめ
- 呼び出しベルを押すか「저기요」と声に出す。無視ではなく、わざと放っておいているだけです。
- おかずも水も無料、おかわりも無料。遠慮なく。出した料理の使い回しは法律で禁止されています。
- **チップなし。**メニューの値段が最終価格。代わりに「잘 먹었습니다」を。
- お会計は出口のレジで、または注文時にタブレットでカード決済。カードはどこでも使えます。
- 器はテーブルに置いたまま、ご飯はスプーンで。ご飯に箸を立てない。
- **写真を指さして「이거 주세요」。**注文はこれで十分です。
束草にいらっしゃるなら、夏の一皿はムルフェです。冷たい甘酢の出汁に生の魚介——美味しく食べる順番があって、これが本当に違います。生の魚が少し気になるようでしたら、その仕組みを詳しく書いた記事もございます。
お腹を空かせてお越しください。ボタンを押していただければ、あとはこちらでいたします。
